ウラ長瀞 #1-2 「66年間、山頂から長瀞を見守るおばぁちゃん」

ウラ長瀞とは?
長瀞町を形成する「人」や「歴史」にフォーカスした情報を発信します。この場所で生きる人たちのストーリー、町の歴史など観光では知ることができない長瀞町の新しい魅力を発見し共有していきます。


このウラ長瀞プロジェクトで一番に特集したかったおばぁちゃん。

ウラ長瀞 #1-1 「坂本寿美子さん」の続きになります。



「三味線」

坂本売店ではタイミングが良ければ寿美子さんの三味線を楽しめます。昔、寿美子さんは東京から来る先生に三味線を教えて頂いたそうです。その後、この長瀞町でお弟子さんを10人ほど育てたそうです。

寿美子さん:「まっ、一番弟子は娘だけどね」


妃史さん:「へっぽこの一番弟子です」


この日も2人で「花の長瀞」という歌を披露していました。もちろん寿美子さんたちのオリジナルソングです。その他、東京音頭をベースにした「宝登山音頭」という歌もあります。実は即興で歌を作って歌ってくれたりもします。

寿美子さん:「お酒飲めば、お酒の歌。ところてん食べれば、ところてんの歌。なんでもできるのよ」


今日も東京と群馬から来たお客様に三味線を披露してました。

「元気もりもり、楽しいなー」と、

三味線を弾くのは妃史さん、歌いながら手拍子する寿美子さん。宝登山神社 奥宮という神聖な場所でしか味わえない最高の芸能かもしれません。


「長瀞町について」

寿美子さんにこの町の未来がどうなれば嬉しいですか?と聞いてみました。

寿美子さん:「いっぱいの人が来てほしいね。いっぱいの子供作ってね。人がいっぱい増えたらいいよね。やっぱり若い人が少ないよね。働く場所がないよね。あればね、町が活性化するのかね。観光も大事だけどね、生まれるのが2人か3人だけど、亡くなる人が8人だもん。税金も少ないから負担も増えちゃうよね、仕方ないよね。人が増えないから。」



自分も大阪の地元から離れた1人です。

長瀞町は人口が7,000人をきりました。このままでは消滅する可能性が高いとされる町です。住んでる方の多くが高齢者で、若い世代は町を離れていきます。菅内閣の所信表明演説でも「新たな人の流れをつくる」「活力ある地方を創る」とありました。しかしずっと地方から都心に若い世代は流れていきました。新型コロナウィルスで時代は変わると言いますが、簡単に若い世代の価値観が変わるとは思えません。これからも長瀞から若い世代は出ていきます。しかし観光で多くの若い世代が長瀞町には訪れます。

ちょうどこの町に住んで1ヶ月が経ちました。この町の魅力だけでなく、多くの課題もみえてきました。地域おこし協力隊としてできることは何か?背伸びせず考えていきたいです。


「人とのふれあい」


東京から来た顧客様がこんなことを言ってました。

お客様:「ここが自動販売機になったら嫌だよね。やっぱり人がいて会話ができて自然を感じれる。ここは本当におばぁちゃんたちの人柄が最高ですよ。」


この方は山登りが好きで色んな土地へ行くのが趣味です。山頂には自動販売機や無人の休憩所が多いらしく坂本売店は稀な存在とのこと。いつもお土産を持って寿美子さんたちに会いに来る。ただの山頂にある売店であれば、この人は何度も長瀞町に来てくれるだろうか?どんな趣味でも、その過程の中で「人とのふれあい」が発生する場所に人は行きたいはずです。


寿美子さん:「人のふれあいが本当に大事だよね。秩父鉄道さんには感謝だよ、ロープウェイがあるからお年寄りも子供も来れるから。町もいろいろ宣伝してくれるからね」


自分たちを褒めるのではなく、ここまで人を繋げて頂く人達に感謝をします。あくまで坂本売店はお土産屋さんです。寿美子さんは「旅に出たからいい思い出を皆様に作ってあげたい」と言います。寿美子さんたちは無意識にしているが、人を幸せにする仕事をしています。宝登山は「宝の山に登る」金運や仕事運が上がると言われています。しかし本当の宝は坂本売店が創り出す「人とのふれあい」ではないでしょうか?自分もすでに宝物を持っていることに気づかされました。


多くの人が来る紅葉シーズンが始まります。寿美子さんたちと焚き火を囲んでいろんなお話ができます。火の神様が祀られいる場所でこのような「人とのふれあい」体験は最高の贅沢だと感じます。


「みんなが来てよかったと言って帰ること。」

寿美子さんたちが大事にしてる事です。


「ここに来て生きがいができた。」


旦那様と寿美子さんが一緒に坂本売店を運営してる時からずっと通って頂くお客様が多いみたいです。亡くなられた旦那様とお話をして救われたと、毎年会いにきてくれるお客様もいるとのこと。その方は「ここに来て生きがいができた」と、旦那様が亡くなってからも色んな人を連れて坂本売店に来て頂けるそうです。


寿美子さん:「今はお父さんに負けないように、いっぱい友達を作ってお客様に来てもらえるように頑張ってるの。たくさんは出来ないけど、気持ちをお客様にお供えしてる。そしたらいつもお土産持って帰ってきてくれるの。無理せずに自然体で、あるものはあげて、そしたら帰ってきちゃうの。また行きたいねーって気持ちを持って帰ってきてもらえるようにね」


妃史さん:「日にちを決めてきてくれるお客様も多いよ。ほらお医者さんじゃないし専門的なことはわからないけど、
自然もあって神様のおかげ、全体的な雰囲気でここにきて癒されたでそれでいいの。特別なことはできないけど、元気になってくれるだけでいいの。」


寿美子さん:「でもね弱ってる人が多いの、何か求めてるの。自然を求めて来るって事は心が弱ってるのかな。どうもこの人沈んでるなーと思ったら声かけて、ちょっと悩みがあるんだけど聞いてもらえる?って話を聞くことが多いよ。」


寿美子さん:「とくに若い人はやっぱり暗い人多いよね。大丈夫かなって思う。病んでる人多いよね。人付き合いとかしんどいんだろうね。人間はね、苦労を買ってでもしろっていうの。楽しみがわかんないの、今は不自由がないからね。お金があればなんでも買えるし。恵まれてる環境だから、ある事に対しての価値がわからないよね。なければないで、工夫するの。お金はねあり過ぎちゃダメだね。足らないぐらいがいい、あれば工夫しないもんね。私はちゃんと考えてるから脳も元気なんですよ。人生は色々だよ。」



寿美子さん:「あのね人付き合いは、細く長く。太く強くではなくていいんだよ。
嫌な人なんかいないよ、みんな好き、ここに来る人も、長瀞町に来る人も、どなたでも好きだよ。いつも心で思ってるの。あのね、美男子だったら心の中で恋をするの。言葉には言わないよ。神様にも毎日恋してるの。今日もお願いしますと毎日してるの。家に帰ったら仏様に今日はこんな事がありました、こうだったよって、そしてお線香あげてそれで一日は終わり。」


最後に長瀞町の魅力を聞いてみました。

寿美子さん:「一度でなく二度三度、きたいなーって思ってもらいたいな。四季があるから楽しめるの、山の表情が変わるからね。春はね、山が笑って山笑い、新芽が出るからね。夏はねその緑でいい思いをさせてもらって落ち葉を見ていろんな形があってそれだけで楽しいよね。冬は寒いけどね。あのね、落ち葉の掃除をみて、大変ですねって言われるけどこちらは楽しいんだよ。楽しいって思えば、苦にはならないの。なんだたっけ?wぜひ遊びに来て欲しいよね」


寿美子さんに88年いきてどうでしたか?
と最後に質問をしてみた。

すぱっと笑顔で一言で締めてくれました。

寿美子さん:「楽しかったよ」


このウラ長瀞と1番に紹介したかったおばぁちゃんでした。まだウラ長瀞はベースを作っている段階でPRもしていないのですがインスタグラムにあげた寿美子さんの動画は1,000回再生していただきました。

「寿美子さんに会いたい」と今繋がっている方からメッセージもいただきました。本当に長瀞に来たときは、寿美子さんたちと会っていろんなお話をしていただきたいです。

長瀞町は自然や文化財を求めてお越しになる方が多いです。町には面白い人がたくさんいます。その方たちとのふれあいも楽しんで頂きたいです。引き続き長瀞町に生きる面白い人を探し特集していきます。

清水 勇多

ご覧頂きありがとうございました。長瀞町(ながとろまち)の町おこしプロジェクトは2つございます。「ウラ長瀞」と「WITH RIVER」を展開しています。日々の活動などinstagramで発信しています、フォローやシェアも大歓迎です。自然豊かな町、長瀞町(ながとろまち)にぜひお越しください。

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