町おこしプロジェクト ウラ長瀞「茶夢の本物の抹茶ラテ」


上長瀞にあるお茶屋さん「新井園」
家の中にあった駐車場を改造して2013年オープンした抹茶ラテの専門店「茶夢(チャーム)」。お茶屋なのにタバコも吸うしコーヒーも飲む。けどお酒は飲まない。そんなチャーミングな店主新井清文さんを取材しました。あなたが抹茶と思ってた抹茶はじつは。。ぜひご覧ください。

〝女性らしくお茶が1番綺麗な商売だと思って始めたみたい″


Q:いつも仲良くしていただいているのでニックネームのキイさんと呼ばせていただきます。まず新井園と茶夢の始まりについて聞かせてください。

キイさん:新井園はお婆ちゃんが始めました。お爺ちゃんは戦死したので女で1人でうちの親父たちを育てました。はっきりとはわからないけど、女性らしくお茶が1番綺麗な商売だと思って始めたみたいです。最初は引売りをしながら始めたみたい。すごいんだよ、うちのお婆ちゃん、女で1人でね。その前は違う商売をしてたみたいです。そして親父が引き継いだ。お茶葉をつめたものを、会社や個人の方に販売してた。ご贈答ですね、お茶屋にも飾ってますがお茶は「無駄にならない贈り物」なので。(笑) 誰が考えたかは知らないけどね。ここ最近はお茶の売上も落ちた。若い人は飲まないからね。子供の頃はまだお茶の文化あったからみんな飲んでたと思うけどね。段々とお茶を飲まなくなった。親父の時代は葬儀屋さんがなかったから、葬儀などで儲けたりしたみたい。世襲さんから直接頼まれてお茶を持って行ったり、葬儀屋さんをかまないでそのまま販売していた。昔は葬儀もいっぱい人が来たから少し儲かったみたいです。なので子供の時はお茶の箱を作ったりして店を手伝っていた。


茶夢のオープンは2013年6月です。駐車場だったところを自分たちで直して始めました。お金もかけなかった。チラシとかもしなかった。まずは知られる事が大変だったかな。最初の頃は全く誰も知らないみたいな。今も全然知られてないけど。だんだん知り合いができたり、観光客が来てくれるようになった。長瀞町の人たちが紹介してくれたりね。長瀞町って繋がりなんだよね。たぶんみんな言ってるんじゃない?本当にそう思う。みんな普通に優しいよね。茶夢は場所的に観光の最後に来るところ。うちが紹介するっていうより紹介されるっていう感じです。本当に助かってます。


〝自己紹介の時は必ず「お茶屋です」って言ってました。″

Q:茶夢をスタートするまではどんな仕事をされていたんですか?

キイさん:高校生まで長瀞町で住んでました。その後はスーパーのダイエーに就職して長瀞町を出ました。かなり忙しかったよ、ダイエーホークスが優勝した時は。その後に服屋のライトオンに転職しました。ダイエーでは衣料品部問でした、やってるうちに何か退屈になってライトオンにお世話になりました。そこからまた別のところに就職したけど、子供の時から実家のお茶屋を継ぐと考えてました。小学校とかの卒業文書の夢とかには、将来はお茶屋って必ず書いてた。本気だったかはわからないけど。なんとなくお茶屋って書いてた。新学期とかクラスでの自己紹介の時は必ず「お茶屋です」って言ってました。抹茶ラテやってるんで今でも同級生とかは来てくれたりします。抹茶ラテやってなかったら同級生も来てくれていないだろうね。

Q:今長瀞は子供が減ってますが、学生時代はどんな感じでしたか?

キイさん:中学の時は3クラスあって120人ぐらいはいたのかな。本当に今は少なくなってる。寂しいよね、長瀞第二小学校なんかすごく少ない。娘が部活でバレーボールやってるけど試合に出るのがやっと。1人休んだら試合に出れないんだよ。今の子達はまとまって部活に入んないといけないから可哀想だなって。昔は部活やっても人がいたから、本気になる子も本気にならない子もいた。今の子供たちの状況だと俺だったら本当に好きなことでも本気になれないかな。それこそ今はコロナの影響で試合もできない。今の三年生には最後の試合ぐらいはさせてあげたいって思う。最後に本気で試合できる瞬間を作ってあげたいな。

学生時代はバスケをずっとやってました。本気でバスケが好きで学校には部活やりにいくような感じだった。1番バスケが盛り上がっていた世代かな、マイケルジョーダンが活躍してて。バスケ少年でした。今も好きで去年の自粛期間はずっとフリースローの練習を息子としてました。ずっとシュート入るよ、走れないけど。インスタにあげてるので見てください。(笑)

Q:見ないです(笑) 早速ですが今日は本当の抹茶を教えて頂けるとのことでありがとうございます。早速ですが宜しくお願い致します!



キイさん:まず3つ(A,B,C)抹茶を用意しました。各抹茶の味比べをしてください。3つとりあえず比べてみてください。

Q:色というか見た目も違うんですね。Aは凄く苦いです、なんと言うか、よくあるやつみたいな。。Bは後味がスッとしってる?苦味がない感じで少し甘味?もあるみたいな。Cは後味が程よく苦くてなんかカフェでよく飲む抹茶ラテって感じですかね。


キイさん:なるほどね、ちなみにどれがいいとかってある?色も見ると全然違うよね。

〝本当の抹茶をお客様は知らないんです。″


Q:正直私は味にこだわりが無いのでどれが良いかは特になく、3つとも抹茶ラテって感じです。でもAはあまり美味しくないっていうか何か違うって感じです。

キイさん:そうだね、Aはコンビニで売ってる抹茶ラテなの。別に批判してるわけじゃ無いよ。Bは茶夢が使っている抹茶です。言うとおりたぶん苦くないんです。抹茶が苦いって言う人がいるんですけどそれは間違ってるんです。もちろん苦い抹茶も存在はしますが。Cは抹茶じゃなくて煎茶なんです。粉末茶です。こっちを抹茶として使う方が多いかな。なので抹茶は苦いってイメージがあるんです。抹茶でも苦いのもあるのはありますが、茶農家さんたちが甘くなるようにつくってます。全然と言えるぐらい味が違うんです。抹茶といって煎茶を出してるので、本当の抹茶をお客様は知らないんです。それを抹茶ってほとんどのお客様が思ってるんです。なのでBが本当の抹茶になります。いや、本当は抹茶って苦くないんだよと、お茶屋としては伝えたいです。

〝本当の抹茶で作った抹茶ラテは違うよって伝えていきたい″


Q:そうだったんですね。飲み比べさせて頂き味の違いははっきりわかりました。確かにお茶屋として抹茶じゃないものを抹茶って紹介されてるのはどうなのって感じますよね。でもなぜ煎茶を抹茶ラテとしてるんですか?

キイさん:煎茶が安いからです。例えばですけど抹茶は普通の販売で30g¥1,000するんです。煎茶はそれよりもっと安いので。商売なので煎茶を選ぶ、でもそれが当たり前です。でもそれぐらい味が違うんです。たとえばコンビニとかで売ってる抹茶ラテとかはあまり良くない抹茶を使ってる。批判するわけではないですが、私からしたらすごく臭くて飲めないです。コンビニの抹茶ラテを飲んでて、抹茶ラテが嫌いですって人がいます。本当にもったいないなと思うんです。コスト的には仕方ないと思うんですけど、本当の抹茶で作った抹茶ラテは違うよって伝えていきたいです。子供の頃から抹茶ラテをつくって飲んでました。大人になって抹茶が人気になって何か違うなって思いました。だったら店やろうっていう流れで茶夢が始まりました。


Q:確かに僕が今まで飲んでた抹茶ラテはCの煎茶のイメージがあります。なんとなく苦いと言うか。

キイさん:うちの抹茶を飲んだらこんな抹茶ラテ始めて飲んだって人が多いかな。牛乳にもこだわってます。夏と冬で牛乳は脂肪分が違うから味が変わったりします。なので牛乳もこだわりの一つです。ラテアートってすごいじゃん。エスプレッソみたいに濃い抹茶をつくるんです。それはありなんだけど水を入れるんです。水入れちゃうとお茶の良さがなくなる。そして牛乳に水入れても美味しくないでしょ?お茶って優しい味だから水入れると美味しくなくなるし。だからうちは最初から牛乳でお茶をといで抹茶ラテを作ります。

〝優しいお茶の味が生きるように抹茶ラテを作っている″


Q:そうなんですね!そんなこだわりがあるなんてめっちゃ驚きました。いつものキイさんからは想像できないです。(笑)

キイさん:めっちゃこだわりありますよ。ほとんどのところはお湯でといでるのかな。でも良い抹茶を使えば苦くもないし甘い抹茶になる。アイスの氷も純氷を使います。純氷の方が溶けないから。ちっちゃい氷だとすぐに溶けちゃって水が混ざって抹茶が美味しくなくなる。茶夢は優しいお茶の味が生きるように抹茶ラテを作ってます。うちテイクアウトだけなんだけど本当に凄くこだわってるんだよ(笑)

Q:ホットはどうなんですか?

キイさん:抹茶は温めると苦味がでるんです。だからアイスとホットで使う抹茶の種類を変えています。なのでホットは苦味が少ない抹茶を使ってます。多分お客様は気づかないけど、例えばアイスで使ってる抹茶もグレートは良い。けどアイスで使ってる抹茶をホットにすると苦くて飲めない。でもアイスだとホットで使うような高い抹茶を使うと苦味が少ないからあまり美味しくなかったり。良い抹茶を使えば美味しい抹茶ラテができるわけではないのも面白いよね。なので抹茶をブレンドしてる。あとね、本当に良い抹茶を抹茶ラテにするのは本当にもったいない。普通に飲むことをお勧めします。



Q:抹茶とお茶って何が違うんですかね?今思うと純粋な抹茶って飲んだことないんでよね。

キイさん:だと思って今日はもってきました!(笑)今日は抹茶のよさを知ってもらいます。お茶っ葉は一緒なんだけど育て方が違うみたい。実際に農家にいって直接見て勉強したわけじゃないから詳しくは話せないけど。コーヒーよりお茶の方がわかりやすい。けどコーヒーと同じくらいお茶っておもしろいです。農家さんも大変だからね、土だって場所だって限られている。霜降ったらダメだし本当にお茶を作るのは大変だと思います。土も良いみたいだから、お茶畑の土って盗まれることもあるんだって。本当に抹茶が嫌いって人多いから、一度うちの抹茶ラテとかを飲んで欲しい。抹茶じゃないものを飲んで苦手になってるから。本当は美味しいのに。もちろんそれでも嫌いな人はいると思うけどね。でも大手の会社が美味しくない抹茶を出してるんだよ。お茶屋から美味しくないお茶を出して損してる感じ。コストとかの商売考えないといけないけど、小さいお茶屋としては美味しいお茶を飲んで欲しい。

でも仕方がないと思う。本物の抹茶を出したらかなり高くなる。お茶は日本でしか作ってないから数も少ないしね。何よりみんな商売だし。市場の抹茶ラテが美味しくないから、抹茶ラテを長瀞町で始めました。市場にあるものが美味しかったら勝てないから始めてないです。美味しい抹茶ラテがなかったから茶夢を作りました。


Q;抹茶もそうですけど、お茶を楽しむのって上品なイメージがどうしてもある。格式が高いと言うか。お茶を楽しもうにもお金がかかる印象があります。

キイさん:初期投資は全然かからないかな。例えばコーヒーだとコーヒーマシーンとか必要だけど、お茶はこのセットがあれば楽しめるんです。お豆腐屋さんみたいな商売、お豆腐が売れ残ったらがんもどきにしたり、無駄がまったくでない商売なんだって。お茶は茶殻がでたりするけど、日本の昔からあるものは凄く商売を始めやすいのかな。

お茶って種類も多い、抹茶、煎茶、玄米茶、などいろいろあります。その中では抹茶って有名なんですけど、さっきも言った通り日本人は本当の抹茶を飲んでいない。飲む機会がないと言えばいいのかな。日本人は本当の抹茶を知らないんだよ。コーヒーとかだったらインスタントでも美味しかったりしない?やっぱり人気だから技術開発もしてるのかな。たぶんコーヒーの方が安いんだろうね。気軽に美味しいコーヒーを楽しめるもんね。もったいないよね、お茶は。美味しいのに。お茶の文化はなくなっていくのかな。残っても変に格式が高いモノしか残らない気もする。それはもったいないと感じてしまう。

Q:ライフスタイルも変わってるから、お茶を取り入れるチャンスもありますよね?何か最近お茶も流行ってると聞きます。

キイさん:どうにかお茶がね、盛り上がれば嬉しいね。カフェインもあるし仕事にもぴったりだしね。カフェイン嫌がる人もいるけどね。茶夢はもともとお茶屋だから抹茶を贅沢に使ってます。普通のところはティースプーン一杯ぐらいかな?だけど茶夢は大さじ一杯使ってます。お茶屋だからできる抹茶ラテです。本当にコンビニとかで売ってる抹茶ラテは美味しくないんだよ。だって美味しくないのにお客様はそれを飲んで抹茶が嫌いってなるんだよ。ま、お茶屋が悪いんだけど。(笑)抹茶だけでなくお茶って面白いじゃん。味も違うし、味はわかりやすいし。もしかしたら何か気取り過ぎてるのかな。お堅い感じというか。仕切りが高い感じもするしね。何か変わっていけばいいよね。


Q:今日インタビューさして頂いてるのは隣町の皆野町にある新井園の茶室の前でさせて頂いてます。ここはキイさんがキャンプ場としてもレンタルしてるとの事ですが、茶夢とこれからの展望を聞かせてください。

キイさん:毎週木曜日は休みだから一人でよく焚火してるよ。ここは一応今はほぼ稼働してないけどキャンプ場としても運営してます。茶夢の今後の展望はとくにないかな。このままのペースでやっていくかな。お茶屋の商売と合わせて変わらずやっていく。従業員雇ったら経費もかかるしこの抹茶ラテの味も変わるしね。お茶屋じゃなかったらこんな贅沢に抹茶を使えないし。今のスタイルだからできることなんで。自分の子供たちにお茶屋を継いでほしいとかも全くないです。でも、ないとか可哀想だよね(笑)でもないんだよな。都会とかだったら継いで欲しいとかあるのかな。長瀞に未来を感じないからそう言っちゃうのかな。どうなんだろ?

〝うちの商売が盛り上がれば長瀞町のためにもなる″


Q:ウラ長瀞の取材で2代目や3代目と話をしますが、やっぱり親たちの築いた店を無くしたくないって言いますね。でも親からは継いで欲しいとは言われてないみたいな話は聞きました。

キイさん:でも確かに長瀞の人たちって継がなくて良いって言うよね。それはそれで子供からしたら寂しいね。その人たちもあまり長瀞の未来は感じれないのかな?親として好きなことして欲しいってことかな。人が少ないからって未来がないとは感じないけど。その前に長瀞町の未来に対して、故郷だから何とも思わない事もないけど。でも意識せずに商工会や観光協会に属してるから長瀞町のための活動に参加してる。でもこれに出て活動している人間が偉いんじゃなくてね。出ないで商売をやってる人間の方が本当にすごい偉いと思う。うちの商売が盛り上がれば長瀞町のためにもなる。自分も長瀞町をどうしたいとかは特になくて。長瀞を盛り上げるために自分の商売をしっかりしたい。地元愛が強い人や熱い人も多いですが長瀞町に住んでるから、良い商売して長瀞町が盛り上がれば良いかな。抹茶できました。飲んでみてください。


Q:ありがとうございます!いただきます。たぶんほんまに初めてと思います。

キイさん:抹茶を苦いっていうのかな?もちろん苦みもあるのかもしれないけどね。もっとカジュアルにお茶と抹茶を飲んで欲しいです。例えばですけど抹茶だとお湯でとかすだけなんです。インスタントコーヒーと同じなんです。もっと気軽に楽しんで飲んで欲しいかな。キャンプでお茶とかも良いと思うんですよね。アウトドアブランドとかもお茶をキャンプで楽しめるセットを出したりしてます。日本人なんだからキャンプでお茶はありと思います。キャンプもできてお茶も楽しめるみたいな。そんなことを今後ね、茶夢ができたら面白いかもね。


いつもお世話になっているきいさんにお話を聞きました。普段のきいさんのゆるい優しい感じとは違い、抹茶ラテに対する本気度が伝わってきました。実際に抹茶ラテはかなり美味しいです。そして抹茶についてもそうですが、ぼくたち日本人は日本の本当の文化を知らないんだと反省しました。コーヒーはみんな飲むのに本当のお茶を飲まない理由は何なのか?今後の自分の考えにも影響を受けた取材になりました。ぜひ長瀞町に来た時は本物の抹茶ラテを飲んでみてください。

茶夢(チャーム)
住所:埼玉県秩父郡長瀞町長瀞1547-4
TEL:0494-66-0330

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